こんにちは
2023年の教員採用試験を受けるヤマシロです
今回は
「不登校」
覚えておく法律名は
2017年2月に施行された
「教育機会確保法」
ですが
法律名だけでなく
「不登校生徒への対応をどのようにしますか?」と言った問いかけの可能性もありますので対策を考えておいて損はありません
そもそもの基本的な考え方や定義もおさらいしておきましょう
不登校の定義
文部科学省では
何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因や背景により、児童生徒が登校しない、あるいは登校したくてもできない状況にあること
と定義されています
また、上記の定義に加えて、年間30日以上の欠席がある場合を指す
ただし、病気や経済的な理由によるものは不登校に該当しません
不登校の現状
2013年(平成25年)から小中学校とも増加を続けている
- 2013年(H25)119,617人
- 2014年(H26)122,897人
- 2015年(H27)125,991人
- 2016年(H28)133,683人
- 2017年(H29)144,031人
- 2018年(H30)164,528人
- 2019年(H31)181,272人
- 2020年(R 2)196,127人
特に中学3年生に多いが、学年が上がるにつれ不登校児童数は増えている
不登校の要因として
- 学校に係る状況
- 家庭に係る状況
- 本人に係る状況
の分類があるが
本人に係る状況(無気力・不安や遊び・非行・生活リズムの乱れ))が全体の半分ほどを占めて多いが
学校に係る状況も重要で「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が全体の1割で目立つ(中学校)
小学校は「親とのかかわり方」で不登校になっているケースが1割程度と多いようだ
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要より
不登校に関する基本的な考え方
不登校であったとしても教育の最終目標は社会的な自立
学生というその時期だけの視野ではなく
児童生徒の将来(進路)を見据え「心」に働きかけていく必要がある
そのためには不登校を見極め、適切に対応していくために学校以外の諸機関との連携も必要な場合がある
教育センター、児童相談所、民間施設、NPOなど
どこの機関が適当なのか、教員一人で考えずにたくさんの連携を考えておく
また、学校教育の充実(魅力ある学校づくり)も必要である
不登校生徒の学校復帰や不登校の予防など
アセスメント(客観的な見極め)や児童生徒との関係構築
保護者、家庭などへの適切な働きかけと支援も行うべきだ
その他、スクールカウンセラーの設置も進んでいるが
各都道府県の中学校へのスクールカウンセラーの配置率は
90パーセント以上が14あるが
かたや
50パーセント未満も13ある(平成18年度)
人材の不足や偏在、財政状況等の理由によって活用の状況は様々。
スクールカウンセラーは非常勤職員で、その8割以上が臨床心理士である。
また、相談体制は1校あたり平均週1回、4~8時間といった学校が多い
こういった人材確保と時間の問題があることは課題なのだろう
不登校問題への対応
冒頭にもあげましたが
不登校児童生徒の教育の機会を失わせないための法律があります
不登校のために学校で勉強する機会を失ってしまった児童・生徒に対して、学校への登校を強制せず、それぞれにあった学習環境を保障するため
『教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)』
というものです
場合によっては学校を休ませる必要性があること
場合によっては学校以外の場で学ばせること
そのような機会が必要だと行政も動き出しています
学校は
「行かなければならない」
から
「学校も一つの学びの場」
という認識の変化を、社会が要望しているという事です
じゃあ学校以外の学びの場にはどういったところがあるのか?
- フリースクール
- 教育支援センター(旧:適応指導教室)
- 不登校特例校
- 遠隔での自宅学習
などである
フリースクールとは
不登校の小中高生が学校以外で学んだり友達と過ごしたりできる居場所。
文部科学省の2015年の調査によると、国内474ヵ所のフリースクールが確認されていて
おもに不登校の子供たちを受け入れている
他には学習障害や発達障害のある人などを支援する施設も多くあります
フリースクールは公的な機関ではありません
個人や民間企業、NPOにより運営されています
おもな特徴としては
- 在籍校の校長が認めた場合出席扱いになる
- 入学資格を設けていないこと
- 異年齢の子どもが学ぶ
- 学校のようなカリキュラムがない
などがあ施設です
教育支援センターは
各自治体で設置の有無から、利用率まで様々ある
学校に行きたくてもいけない子や、人間関係で行けなくなってしまった子など様々だが
児童生徒の目標は、学校復帰や社会的自立を掲げていることが多い
不登校特例校は
学習指導要領にとらわれず、不登校生の実態に配慮した特別な教育課程をもつ学校です。
正式名は
「不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校」
文部科学大臣が指定します。
大阪市では2024年開校予定で検討されています
(2022年現在では全国8都道府県に公立8校、私立9校)
文科省から出ている不登校関係まとめ
不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方
(1)支援の視点
支援は「学校に登校する」という結果のみの目標ではなく
児童生徒が自らの進路を主体的に捉え
社会的に自立することを目指す必要がある
学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに気をつけ伝える必要がある
(2)学校教育の意義・役割
不登校児童生徒への支援については
不登校となった要因の把握
学校関係者や家庭,必要に応じ関係機関との情報共有
組織的・計画的な,個々の児童生徒に応じたきめ細やかな支援策の策定
社会的自立へ向けての進路の選択肢を広げる支援
既存の学校教育になじめない要因の解消に努める必要がある
また,児童生徒の才能や能力に応じて,それぞれの可能性を伸ばせるよう,本人の希望を尊重した上で,場合によっては,教育支援センターや不登校特例校,ICTを活用した学習支援,フリースクール,中学校夜間学級(以下,「夜間中学」という。)での受入れなど,様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行うこと。
その際,フリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し,相互に協力・補完することの意義は大きいこと。
(3)不登校の理由に応じた働き掛けや関わりの重要性
社会的自立や学校復帰に向かうよう
見守りつつ,不登校のきっかけや継続理由に応じて,その環境づくりのために適切な支援や働き掛けを行う必要がある
(4)家庭への支援
家庭教育は全ての教育の出発点
児童生徒の保護者の状況に応じた働き掛けを行うことが重要
不登校の要因・背景によっては,福祉や医療機関等と連携し,家庭の状況を正確に把握した上で適切な支援や働き掛けを行う必要がある
家庭と学校,関係機関の連携を図ることが大切
保護者と課題意識の共有、一緒に取り組むという信頼関係や
訪問型支援による保護者への支援など
保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要
学校等の取組の充実
(1)「児童生徒理解・支援シート」を活用した組織的・計画的支援
(2)不登校が生じないような学校づくり
1.魅力あるよりよい学校づくり
2.いじめ,暴力行為等問題行動を許さない学校づくり
3.児童生徒の学習状況等に応じた指導・配慮の実施
4.保護者・地域住民等の連携・協働体制の構築
5.将来の社会的自立に向けた生活習慣づくり
(3)不登校児童生徒に対する効果的な支援の充実
1.不登校に対する学校の基本姿勢
2.早期支援の重要性
3.効果的な支援に不可欠なアセスメント
4.スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携協力
5.家庭訪問を通じた児童生徒への積極的支援や家庭への適切な働き掛け
6.不登校児童生徒の学習状況の把握と学習の評価の工夫
7.不登校児童生徒の登校に当たっての受入体制
8.児童生徒の立場に立った柔軟な学級替えや転校等の対応
不安により,進級時の補充指導や進級や卒業の留保に関する要望がある場合には,補充指導等の実施に関して柔軟に対応する
校長の責任において進級や卒業を留保するなどの措置をとるなど,適切に対応する必要がある
また,欠席日数が長期にわたる不登校児童生徒の進級や卒業に当たっては,あらかじめ保護者等の意向を確認するなどの配慮が必要である
(4)不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保
不登校児童生徒の一人一人の状況に応じて,教育支援センター,不登校特例校,フリースクールなどの民間施設,ICTを活用した学習支援など,多様な教育機会を確保する必要があること。また,夜間中学において,本人の希望を尊重した上での受入れも可能であること。
(5)中学校等卒業後の支援
1.高等学校入学者選抜等の改善
生徒について適切に評価することが望まれる
中学校卒業程度認定試験の活用
不登校となっている生徒が在学中に受験できるよう,不登校生徒や保護者に対して適切な情報提供を行うことが重要
2.高等学校等における長期欠席・中途退学への取組の充実
3.中学校等卒業後の就学・就労や「ひきこもり」への支援
社会とのつながりを絶やさないための適切な対応が必要
4.改めて中学校等で学び直すことを希望する者への支援
教育委員会の取組の充実
(1)不登校や長期欠席の早期把握と取組
(2)学校等の取組を支援するための教育条件等の整備等
1.教員の資質向上
2.きめ細やかな指導のための適切な人的措置
3.保健室,相談室や学校図書館等の整備
4.転校のための柔軟な措置
5.義務教育学校設置等による学校段階間の接続の改善
6.アセスメント実施のための体制づくり
(3)教育支援センターの整備充実及び活用
1.教育支援センターを中核とした体制整備
2.教育支援センターを中核とした支援ネットワークの整備
(4)訪問型支援など保護者への支援の充実
(5)民間施設との連携協力のための情報収集・提供等