こんにちは
2023年の夏の教員採用試験に向け
勉強内容をまとめているヤマシロです
今回は
「体罰」
についてまとめます
重要性が高いテーマです
面接などでも問われることの多いテーマですので
この際、学び直しておきましょう
体罰の禁止と懲戒
「なぜ体罰はダメなのか」
「指導はどこからダメでどこまで良いのか」
基本的な理解があればあなた自身が体罰問題で窮地に陥ることは無いでしょう
体罰は絶対ダメ
体罰がダメな理由は明快です
「法律で決まっているから」
です
「法律だから!?イヤ、そもそも人を殴るのはアカンやろ」
正しいのですが
今は正論ではなく
「学校教育法で決まっているから(学校教育法11条)」
と答えましょう
面接で問われるのは
「体罰はダメですよね。どんな法律だからですか?」と問われます
あなた自身の信条や道徳観ではなく
問われるのが法律名だからです
しかも
「教育基本法」ではなく「学校教育法」です
似ている「教育基本法」は
- 日本の教育はこうあるべき
- 教育の目的(人格の完成を目指す・・・)
- 教育の目標
- 知識教養情操道徳健やかな体
- 個人の価値の尊重、創造性、自立の精神、職業
- 正義と責任、男女平等、公共の精神
- 生命、自然、環境の尊重
- 伝統文化と郷土愛、愛国心と国際平和
- 生涯学習の理念
- 教育の機会均等(人種、信条、門地、性別、社会的身分、経済的地位での差別ダメ。障がい者に対する国と自治体の支援)
- 義務教育(普通教育を受けさせる義務、国や自治体の機会の保障、授業料は徴収しない)
- 学校教育(規律を守り、学習意欲を高めることが重要)
- 大学、私立
- 教員(研究と修養、養成と研修を図る)
- 家庭教育(保護者の第一義的責任、公的な支援の在り方)
- 幼児期の教育(人格形成の基礎)
- 社会教育(図書館、博物館、公民館など)
- 学校、家庭、地域の連携
- 政治教育(政治的教養は必要だが特定の政党支持や反対教育はダメ)
- 宗教教育(宗教に関する一般知識は必要だが特定の宗教教育はダメ)
- 教育行政(国や自治体の役割分担や財政措置)
- 教育振興基本計画(各地方自治体の計画を必読!!)
- 法令の制定(これらの実施に必要な法整備)
なので
日本の教育の基本的な事柄に関しての決まりごとが書かれている
学校教育法は読んで字のごとく
「学校での教育の在り方」
が書かれている
だから「学校教育法」と体罰は関係がある
後でも記載するが
学校外での体罰(保護者など)に関しては
「改正児童虐待防止法」「改正児童福祉法」が関わってきます
学校に関する体罰関係は
「学校教育法」と覚えてきましょう
体罰の禁止
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときには、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない
(学校教育法11条)
体罰は、違法行為です
そして
児童生徒の心身に深刻な悪影響を与えます
そして
教員や学校の信用を失墜させる行為です
体罰は、正しい倫理観や道徳観を要請することはできません
逆に、「力が正しい」や「力で解決する」といった志向を持たせます
その結果いじめや暴力行為などが発生する可能性も大いに生まれます
教師は指導するにあたり、児童生徒の理解、適切な信頼関係の構築、懲戒が必要な場合でも体罰ではなく正しい指導を行い
児童生徒の規範意識や社会性の育成を図らなければならない
正しい懲戒
指導の場面には
なるべく出会いたくないですよね?
ですが、1人のしっかりとした人間の成長のためには
言うときには言う
やるときにはやらなければなりません
ですが殴ったりけったりしてはいけません
懲戒にはいくつかの種類があります
- 退学(公立義務教育諸学校に在籍する生徒には退学はダメ、逆に私立はOK)
- 停学(義務教育諸学校に在籍する生徒には停学はダメ、私立でも公立でも義務教育の機会を奪うことになるから)
- 訓告
(学校教育法施行規則第26条2項)
”懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長が行う”
基本的に教育の機会が無くなってしまう事態を作るのはNGです
なので義務教育下では停学はNGです
退学は私立ではできます
なぜかというと
公立学校があり、公立学校が児童生徒の最後の受け皿になるところだからです
なので、公立学校では退学や停学はできません
ですが、出席停止はできます
課題を与えたりすることで学ぶ機会は保証できるので
素行不良、性行不良などの場合も自宅謹慎はできます
その他懲戒権の範囲内と判断されることは
- 注意、叱責、
- 居残り、別室指導(複数人で対応すること)
- 起立、清掃、学校当番
- 宿題、文章指導など
体罰の防止と組織的な指導体制
教育委員会は、教師などの体罰防止のために、研修や指導資料の作成を行う
学校は、指導困難な児童生徒に対しては組織的な指導を徹底する
校長は、教員が体罰を行うことが無いように未然防止に取り組む
部活指導では体罰が起こりやすい?
部活動における体罰の発生件数のグラフです
運動系の部活動を経験したことのある人ならば感じることも多いと思います
体罰と部活動の関りですね
某高校の剣道部のキャプテンが熱中症と体罰によって命を失ったり
バスケ部のキャプテンが体罰を背景に自ら命を絶ったり
ニュースになるような事案以外にも水面下では本当に多く存在すると思います
でも
なぜ、部活動で体罰が起こりやすいのか?
そこには多くの理由があると思います
いくつかサイトを検索していて見つけた理由を出すと
- 指導者が未熟であるため
- モラルの欠如
- 児童生徒のせいにして自分の日を認めない
- 時代のせいにして自分の日を認めない
体罰を武器に児童生徒を動かすことで指導できていると勘違いしてしまっている
その結果、指導者が新たに学ぶのではなく、自分の経験のみで指導し続けることになり、勘違いとともに力による指導が続くという事です
その他でもモラルハラスメントもあるようです
2019年、織田信成さんが関西大学コーチからモラルハラスメントを受けたという事案もあったようです
織田さんによれば、無視を受けた、陰口を言われた、高圧的な態度を取られたということがあったようです
文章で書くと
「そんなことで」「ちょっとしたことじゃない?」
と些細なことのように感じるかもしれません
ですが、実際キツイのは私自身も中学校の部活動の顧問経験があるのでわかります
そのハラスメントの裏側には、被害者に対する期待などもあるのかもしれません
ですが、上下関係、陰口やグループ化、後輩を囲い込むことでの派閥などなど
指導する上で精神的なストレスになることは多いです
指導者間でも精神的な圧力を感じることもあるのなら
児童生徒への精神的なプレッシャーがかかることも、大いに考えられます
その他
「今の子供や親はちょっとしたことで問題にする」
「昔と違って今の子供は根性がない」
と言った「自分以外のせい」にするということです
自分の非を認めることができない指導者が非常に多いのも事実です
自分の非を認められない理由として
過去の経験の美化や自分が経験してきた過去があるからだ
自分の十数年の経験を否定することにもなるので、なかなかそういった「自分との向き合い」に取り組む指導者は少ないです
いろいろと理由はあり体罰が無くなりにくいのは根深い問題です
部活動指導のあるべき姿
部活動は学校教育の一環であり、体罰が禁止されていることは当然である
部活動の成績や結果のみに固執することなく教育活動という大前提のもと実施する必要がある
運動部活動においては心身の健全な発達が目的である
- 活動を通じての連帯感や達成感
- 身体能力や技術の向上
精神的・肉体的な負荷を伴うがあくまでも健全な発達のために行わなければならない
部活動指導は、学校、顧問、生徒、保護者の相互理解のもと、年齢や熟練度、健康、場所、時間などを総合的に考慮して実施する
部活動は学校教育の一環なので、顧問のみに任せることなく、管理職である校長や教頭などは、顧問の指導を適宜監督する必要がある
保護者による体罰の禁止
2020年4月に「児童虐待防止法」「児童福祉法」が改正(2019年6月)・実施されました
2020年から実施されている「改正児童虐待防止法」と「改正児童福祉法」の改正趣旨は
”児童虐待防止対策の強化を図るため、児童の権利擁護、児童相談所の体制強化及び関係機関間の連携強化等の所要の措置を講ずる”
といったものです
以前(2016,17年)にも改正・実施がありましたが
保護者による児童虐待によって命が失われる事案が発生しています
こういった事案を受けて改正された法律です
2020年実施の改正された2案のポイントは
- しつけ名目の体罰の禁止
- 監護と教育の範囲を超える行為の禁止
親以外の体罰も当然ですが、許されない行為とされています
暴力はどういったこともダメですが言葉による「口撃」もダメです
心を傷つけるような発言や行動はダメということです
児童虐待発生件数のグラフも参考にしておきましょう
まとめ
今回は体罰に関してまとめました
大事な法律は
- 学校教育法
- 改正児童虐待防止法
- 改正児童福祉法
その他懲戒に関しても「退学」「停学」「訓告」の適用範囲を把握しておきましょう
公立義務教育学校は最後の受け皿と理解しておけば問題は無いと思います
これからも頑張っていきましょう(^^)