【いじめと問題行動】教員採用試験対策 11 いじめ防止対策推進法

教員採用試験対策

こんにちは

2023年の教員採用試験に向けて勉強をしているヤマシロです

今回は

いじめと問題行動

いじめの定義はよく出ます

基本的な方針やガイドラインの把握はもちろん

現在の調査結果の内容も確認しておきましょう

いじめの定義

いじめの定義は

いじめ防止対策推進法第2条にあります

児童等に対して、当該児童が在籍する学校に在籍している等、当該児童と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの

とされている

もう一つ

文部科学省による問題行動等調査では

個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。

「いじめ」とは

当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

この「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である。”

とあります

説明が回りくどいところもありますが

「いじめられた」も「いじめられている可能性」も色々見方はあるが

まずはいじめられたとする児童生徒の立場になり気持ちに寄り添うことが大切

一定の人間関係というのも、学校、学級、部活動など当該児童と関係を持っている人はもちろんだが集団も入る

攻撃に関しては、物理的なものから心理的なものまで幅広いが

当該児童が「イヤだな」「なんか嫌な感じだな」などの感覚にも気をつける

勿論一方的な思い込みもあるかもしれないが、いじめでないにしても何らかのケアは必要になってくる事案になるので

普段からの小さな出来事の対応なども意識する

いじめの防止、早期発見、措置の基本的な考え方

いじめの防止

いじめはどんな子どもにでも起こる可能性のあることです

どの子どもでも被害者はもちろんだが加害者にもなってしまう事実を前提としてとらえておくことが必要です

誰もが被害者、加害者になってしまう可能性があるからこそ

児童生徒がいじめに向かうことのないよう未然防止にすべての教職員で取り組み

児童生徒の尊厳が守られる必要がある

いじめ防止のために

  • 児童生徒が心の通じ合うコミュニケーション能力をはぐくむこと
  • 規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できるような「授業づくり」や「集団づくり」

が大切とされるが

もっと細かく見るとソーシャルスキル(社会的な言動)です

  • 対人関係
  • グループ関係
  • 気持ちのシェア

など教科だけでは学べない社会的な成長を促すことが未然防止につながるでしょう

そこには、人権教育や道徳教育、学校外での体験活動などの充実も大切ですし

なにより

子ども達自身が主体的により良い集団を作り、学級を作っていくというようなマインドを作っていくこともとても大切です

早期発見

いじめは大人の目につかないところで行われていることが多いです

子どもの場所、時間、集団、遊びを担任がすべて把握することは難しいというか不可能です

遊びやふざけを装って行われたりもします

担任だから「全部知っている」や「いじめ問題は大人には見えない」といった極端な思考を持たず

あなたもいじめを「みつけること」もあるし「気付けないこともある」という事を自覚することが大切です

だからこそ

子どもを見守る大人たちが様々な角度から見守ることで

1人では見えない子どもの側面を見守っていく体制の構築が重要

学校では「いじめアンケート」を実施するが

いじめアンケートだけではなく普段からの信頼関係が相談につながることもある

雑談や日記(生活ノート)、個人面談(教育相談)や家庭訪問など様々な場面で相談の機会は作れる

だが、信頼関係が薄いと相談にはならない

大人にとったら些細な事でも子どもにとっては重要なこともある

子どもに寄り添い、徹底して守るという姿勢を常日頃から見せ

信頼される大人になることも教師としては大切な事である

いじめに対する措置

発見・通報を受けたときには一人で抱え込んではダメ

教師は誰もが一度は自分一人で全部できるスーパーマンを目指す

だが、これは間違いだ

教師はスーパーマンでなくていい

子どものために全力を注げる人間であればよい

いじめの発見や通報に関しては、特定の教職員だけで抱え込むのではなく(秘密は厳守だが)

速やかに組織的に対応する必要がある

被害を受けている(可能性がある)児童生徒を守り通すこと

加害児童生徒には教育的配慮のもと毅然とした態度で指導する

自らの行為が人を傷つける行為だと自覚させ

自らの行為の責任を自覚させ

いじめに向かわせない力を育むことが大切

いじめを見ていた児童生徒に対しても、児童生徒自身の問題としてとらえさせること

いじめを止めることはできなくても、誰かに知らせる勇気を持つことが大切と指導する

「いじめ防止のための基本的な方針」文部科学省(2017年改訂)も参考

いじめの重大事態の調査に関するガイドライン

いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)文部科学省ガイドライン

学校の設置者又はその設置する学校による対処

第28条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。

二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

公立の学校に係る対処

第30条 地方公共団体が設置する学校は、第28条第1項各号に掲げる場合には、当該地方公共団体の教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない。

2 前項の規定による報告を受けた地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第28条第1項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。

(文部科学省ガイドラインより)

基本姿勢

人として当たり前のことはあるが

人は自分自身が窮地に陥ったと考えるとウソもつきやすくなる

だからこそ教師として持っておくべき基本姿勢を示す必要がある

以下ガイドラインからの抜粋

学校の設置者及び学校は、いじめを受けた児童生徒やその保護者(以下「被害児童生徒・保護者」という。)のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たること。

学校の設置者及び学校として、自らの対応にたとえ不都合なことがあったとしても、全てを明らかにして自らの対応を真摯に見つめ直し、被害児童生徒・保護者に対して調査の結果について適切に説明を行うこと。

重大事態の調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものではなく、いじめの事実の全容解明、当該いじめの事案への対処及び同種の事案の再発防止が目的であることを認識すること。

学校の設置者及び学校は、詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」という判断をしないこと。

また、被害者である児童生徒やその家庭に問題があったと発言するなど、被害児童生徒・保護者の心情を害することは厳に慎むこと。

決して、安易に、重大事態として取り扱わないことを選択するようなことがあってはならない。、学校の設置者又は学校は、被害児童生徒・保護者に対して自発的・主体的に、詳細な調査の実施を提案すること。

必要な時間をとりながら丁寧に説明を尽くし、根気よく信頼関係の構築に努め、被害児童生徒・保護者に寄り添いながら調査を進めること。

いじめの現状

近年、学校現場ではいじめの把握に力を入れており、認知件数は過去最多を更新。認知した学校は8割を越えている

学校でのいじめは、年々若年化の傾向にある

いじめの発見は学級担任による場合は少ない

いじめの発見はアンケート調査などの学校の取り組みの場合が多い

いじめの態様は、ひやかし、からかい、悪口が最も多い

携帯電話・タブレット、スマートフォンなどネットいじめの認知件数が増える傾向にある

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の統計結果を確認しておく

令和3年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から

2021年度の小中高等におけるいじめの認知件数が61万5,351件と過去最多となった

文部科学省が2022年10月27日に公表した「2021年度(令和3年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」ではネットいじめ件数は初の2万件超え。

タブレット・スマートフォンなどによる誹謗中傷、GIGAスクール構想、端末整備の影響もありネットいじめの被害が多くなっている

小・中・高校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は、前年度比9万8,188件増(19.0%増)の61万5,351件。

2020年度全校種で大幅に減少した理由としてコロナによる接触機会の減少が考えられる

学校活動の再開に伴いふたたび増加している

いじめの重大件数は705件。

コロナ前の2019年度をわずかに下回ったが、前年度比191件増。

小・中学校における長期欠席者数は、前年度比12万6,003人増の41万3,750人。このうち不登校によるものは前年度比4万8,813人増の24万4,940人、不登校児童生徒数は9年連続で増加し、過去最多。

問題行動

青少年の問題行動は、非社会的行動反社会的行動に分別される

非社会的問題行動とは、不登校、緘黙、自殺などの不適応行動を言う

反社会的問題行動とは、反抗や暴力行為、いじめなどを言う

非行とは、未成年者による社会規範の侵犯、逸脱行為のことを言い

非行は反社会的行動と考えられ、非行少年は3種類に分別される

  • 犯罪少年(罪を犯した20歳未満))
  • 触法少年(刑罰法令に触れる14歳未満)
  • ぐ犯少年(罪を犯す恐れ、触法の恐れのある少年)

これらの内容は少年法に記載されている

少年法

第2条 少年法において少年とは20歳未満をいう

第2条2 保護者とは、少年に対して法律上監護教育の義務のある者及び少年を現に監護するものを言いう

第3条 家庭裁判所の審判に付する少年

  • 罪を犯した少年
  • 14歳未満の触法少年
  • ぐ犯少年(保護者のいう事を聞かない、家に帰らない、犯罪者と関わる、怪しい場所に出入りする、自己または他人の徳性を害する)

第6条 少年法より児童福祉法が適当なら児童相談所へ通告できる

などなど

暴力行為

学校内での暴力行為の種類

  • 生徒間暴力(最多)
  • 対教師暴力
  • 対人暴力
  • 器物損壊

2020年には4万1056件

平成18年度(2006年)以降増加傾向にある

1997年の校内暴力件数1432件と比べると約30倍近くになっている

対教師、生徒間、器物損壊のいずれも増加しているが

生徒間が3万548件で最も多い(全体の約75%)

文科省の報告による暴力行為増加の要因

社会状況や家庭環境など多様な問題があるとされるが

  • 児童生徒の成育、生活環境の変化
  • 児童生徒が経験するストレスの増大
  • 感情を抑えられない
  • 考えや気持ちを言葉で伝えることが苦手
  • 人の話を聞いたりする能力が低下
  • 規範意識や倫理観の低下
  • 人間関係の希薄化
  • 家庭の養育に関わる問題
  • 映像等の暴力場面に接する機会の増加
  • インターネット・携帯電話の急速な普及に伴う問題
  • 若年層の男女間における暴力の問題

など

同じ児童生徒が暴力行為を繰り返す傾向などが指摘されている

指導に当たっての考え方

  • 基本姿勢・・・

児童生徒理解、暴力行為の背景を考慮し関係諸機関と連携して抜本的な解決に向けて取り組む。教育的配慮を根底にして、毅然とした態度で指導する

  • 個に応じた指導を心がける
  • 教師と児童生徒の人間関係の構築・・・

児童生徒理解を深める、生徒指導能力の向上、全教職員での共通理解、組織的対応の整備

  • ネットいじめへの対応・・・

日常から関係諸機関との連携を図る、保護者との関り、地域社会との青少年関係機関との関り、協力関係を築いていく

  • 個人の力量による指導は避ける
  • PDCAのマネジメントサイクルで組織的に取り組む
  • 学級担任の役割(理解の深化、人間関係構築、教育相談の充実、規範意識の醸成)
  • 発達障害がある児童生徒対応の配慮
  • 受験ストレスの考慮
  • 愛着に課題を抱える児童生徒への対応
  • 未然防止と早期発見、深刻化の回避

文科省のHPより確認しておいても良いでしょう

まとめ

いじめの定義は「いじめ防止対策推進法第2条」

”児童等に対して、当該児童が在籍する学校に在籍している等、当該児童と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの”

いじめの防止と早期発見が大切

アンケート調査でのいじめの発見が多い

いじめに対する措置は組織的に速やかに

文科省サイトも見ておく

いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)文部科学省ガイドライン

いじめの現状として年々若年化と増加の傾向にある

ネットいじめは2021年度調査で2万件越え

非社会的問題行動は不登校、緘黙、自殺

反社会的問題行動は暴力や反抗、いじめなど

犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年の区別をつける(読んで字のごとくだが)

学校内暴力行為も2006年(平成18年)以降増加傾向

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