教員採用試験対策 学校教育法4 懲戒・出席関係と子どもの保護【児童生徒の法規】
こんにちは
来年に鹿児島県教員採用試験を受けるヤマシロです
法律関係は面接でも覚えておく必要があります
今回(令和4年に受けた令和5年度採用の試験です)面接を受けた私への質問は
「体罰はダメですよね。」
「ハイ」
「それって法律で決まっていましたか?」
「ハイ」
「何という法律でしたか」
「・・・」
体罰全般、怒鳴るなども含む
・児童福祉法(1947年(昭和22年))の令和元年(2019年)法改正で令和2年(2020年)4月1日から施行
・児童虐待防止法(2000年公布)
児童生徒への体罰禁止
です
面接という緊張もあり、薄っすら覚えているだけでは自信をもって答えることができず撃沈します
そうならないように今のうちに学び学び
懲戒・出席停止に関して
児童生徒の懲戒
懲戒とは、教員など特定の者が必要に応じて児童生徒に加える一定の制裁をいいます
まず、学校教育法第11条(懲戒)でさだめていますが
校長及び教員は,教育上必要があると認めるときは,文部科学大臣の定めるところにより,児童,生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし,体罰を加えることはできない。
とあります
懲戒は良いけど体罰はダメということです
(太字は学校教育法施行規則26条を指しています↓にあります)
そして
学校教育法施行規則第26条1・2項にあるように
校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては,児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。
2 懲戒のうち,退学,停学及び訓告の処分は,校長(大学にあつては,学長の委任を受けた学部長を含む.)が行う。
校長が行うという点は押さえておきましょう
懲戒の3つの種類
懲戒には「退学」「停学」「訓告」の三つがあります
- 退学・・・学生・生徒が学校を中途でやめる、また、やめさせられること。
- 停学・・・学生・生徒に罰として行う、一定期間の登校禁止
- 訓告・・・校長自らが児童生徒に注意を与え将来を戒めること
懲戒に使用制限が無い(退学・停学・訓告OK)のは高等学校
以下それぞれ適用できるかどうかが分かれます
義務教育課の懲戒について
退学
適用可能・・・国私立の小中学校、国公私立の中等教育学校(前期課程)
適用不可・・・公立の小中学校、義務教育学校、特別支援学校
停学
適用可能・・・無し(どの校種も義務教育諸学校ではダメ)
適用不可・・・義務教育諸学校
訓告
適用可能・・・どの校種でも
適用不可・・・無し
義務教育課では、教育を受ける権利が保証されている(日本国憲法26条1項「・・・ひとしく教育を受ける権利を・・・」)
教育を受ける機会を停止してはいけないという事
退学の方が重たい処分だが、退学になっても公立の小中学校へは必ず行けるので問題は無い
公立の小中学校でも退学や停学はダメだが「出席停止」はできる(児童生徒の出席停止)
性行不良(素行不良)だと周りの生徒の学ぶ権利を侵害してしまうから
退学処分の要件
学校教育法施行規則第26条第3項
3 前項の退学は,公立の小学校,中学校(学校教育法第七十一条の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という.)を除く.),義務教育学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き,次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる.
一 性行不良で改善の見込がないと認められる者
二 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
三 正当の理由がなくて出席常でない者
四 学校の秩序を乱し,その他学生又は生徒としての本分に反した者
児童生徒の出席停止
懲戒行為ではなくて、学校の秩序、感染予防などで、他の児童生徒の教育を受ける権利を保護するための措置がある
素行不良の児童生徒や感染症の児童生徒は出席停止にできるということ
学校教育法35条1項(性行不良)
市町村の教育委員会は,次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは,その保護者に対して,児童の出席停止を命ずることができる。
一 他の児童に傷害,心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
二 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
三 施設又は設備を損壊する行為
四 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
学校保健安全法19条(感染症)
校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかる おそれのある児童生徒があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させる ことができる。
子どもの保護
児童憲章
制定日:1951年(昭和26年)5月5日
制定者:児童憲章制定会議(内閣総理大臣により招集。国民各層・各界の代表で構成。)
われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。
- 児童は、人として尊ばれる。
- 児童は、社会の一員として重んぜられる。
- 児童は、よい環境の中で育てられる。
一 すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。
二 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもつて育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。
三 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。
四 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。
五 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。
六 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整つた教育の施設を用意される。
七 すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。
八 すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。
九 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、悪い環境からまもられる。
十 すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。
十一 すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不充分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。
十二 すべての児童は、愛とまことによつて結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。
子どもって?(児童の定義)
児童福祉法では
児童とは満18歳に満たない者をいい、以下のように分けている
- 乳児・・・満1歳に満たない者
- 幼児・・・満1歳~小学校就学の始期に達するまでの者
- 少年・・・小学校就学始期~満18歳に達するまでの者
選挙権年齢の引下げについて
平成27年6月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し、公布されました(平成28年6月19日施行)。
今回の公職選挙法等の改正は、年齢満18年以上満20年未満の者が選挙に参加することができること等とするとともに、当分の間の特例措置として選挙犯罪等についての少年法等の適用の特例を設けることを目的として行われました。
少年法(2、3条)
少年法は、「『少年』とは、20歳に満たない者」をいうとして、適用年齢を20歳未満としています(少年法2条1項)。
20歳は成人なので、少年法の適用外です。少年法は19歳以下の少年に適用される法律ということ
少年法は、少年が犯罪・14歳未満での触法行為・非行を行った疑いのあるときは、全件を家庭裁判所の審判に付する(家庭裁判所に送致する)ことを定めています。(3条)
児童のための施設
児童福祉法に以下の項目がのっています
7条
この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。
39条
幼保連携型認定こども園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとしての満三歳以上の幼児に対する教育(教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第六条第一項に規定する法律に定める学校において行われる教育をいう。)及び保育を必要とする乳児・幼児に対する保育を一体的に行い、これらの乳児又は幼児の健やかな成長が図られるよう適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする施設とする。
41条
児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする。
44条
児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。
児童虐待防止法
児童虐待の防止等に関する法律
2000年(平成12年)に公布された児童虐待の禁止、防止、虐待されている子どもの保護、自立支援などを定めた法律
2019年(令和元年)に法強化のために、親の体罰も禁止、児童の権利擁護、児童相談所の体制強化などが盛り込まれた改正された児童福祉法(改正児童福祉法)とともに児童虐待防止法が成立した(児童福祉法 1947年(昭和22年))
児童虐待とは(定義)
児童虐待の定義が「児童虐待防止法」に書いている
簡単にまとめると
- 身体的虐待
- 性的虐待
- ネグレクト
- 心理的虐待
以下ほぼ本文
この法律において「児童虐待」とは、保護者がその監護する児童(18歳に満たない者をいう)について行う次に掲げる行為を言う
1,児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること
2,児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること
3,児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による(前2号又は次号に掲げる行為と同様の)行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること
4,児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家族における配偶者(事実婚も含む)に対する暴力(不法な攻撃、心身に有害な影響を及ぼす言動)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
児童虐待の早期発見や通告義務に関して
第5条
学校、児童福祉施設、病院、その他の福祉に業務上関係ある団体(警察、教育委員会、婦人相談所、配偶者暴力相談支援センターなど)及び学校教職員児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士、その他児童の福祉に業務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない
2、児童の保護、自立支援の行政の施策への協力に努める
3,児童虐待防止のための教育や啓発に努める
第6条
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない
※守秘義務よりも通告の方が強い
児童相談所って?
児童相談所は、児童福祉法第12条に基づいて都道府県や政令指定都市等が設置し、18歳未満の子どもの心やからだのこと、家庭や学校での問題などについて、子ども本人や家族・学校の先生・地域の方々等からの相談を受け付け、子どもが明るく健やかに成長していけるようお手伝いをする相談機関
厚生労働省の説明
児童相談所は、市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニ-ズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護すること(以下「相談援助活動」という。)を主たる目的として都道府県、指定都市及び児童相談所設置市に設置される行政機関である。(=設置義務)