こんにちは
令和5年受験、6年度採用を目指しているヤマシロです
一般教養や専門教養の筆記試験でよく出る宗教改革に関わりのある人物「ルター」と「カルヴァン(カルバン)」をまとめました
ちなみに
受験で出た問題は肖像画とちょっとした説明から人物名を答えさせる問題でした(カルヴァン)
参考にしてください
そもそも宗教改革とは
16世紀に起こったキリスト教教会体制の変革運動のことを言う
きっかけは16世紀にカトリック教会が発行した「免罪符(めんざいふ)」(贖宥状(しょくゆうじょう))
この免罪符をルターが批判したことをきっかけとして宗教問題や政治問題にまで発展した
16世紀当時の中世ヨーロッパにおけるキリスト教の指導では
カトリック教会は
「財産を貯めたり、お金を貸して利子を取り立てたりすることは『罪』である。しかし教会への寄進(寄付)によって免れることができる」
という教えがありました
この教えを利用して、莫大な財産を築きます。
カトリック教会の本部はローマにあるヴァチカンの丘に建つサン=ピエトロ大聖堂
このサンピエトロ大聖堂の老朽化に伴い再建を命じたのがこの人
レオ10世(ジョバンニ=デ=メディチ)です
メディチ家って聞いたことがある人もいるかもしれませんが
ルネサンスの文化を財政面で支援した一族です
フィレンツェ共和国の最高指導者でメディチ銀行頭取ロレンツォ=デ=メディチの次男になります
この教皇が行ったのは何か?
それが贖宥状(免罪符)の発行です。
なぜ、レオ10世は免罪符を発行したのか?
カトリック(キリスト教)の教えでは
「地獄に落ちるべき罪人も、善行を積むことで罪が清められ、天国へ導かれる」と説明されています
善行とは
・懺悔
・巡礼
・寄進
※寄進とは神社や寺院に対する金銭や物品を送ること(寄付とは対象問わず行われる金品や物を送ること)
この三つであり、三大聖地のローマ、イェルサレム、スペインのサンチャゴ=デ=コンポステラへ巡礼することが奨励されました。
そもそもはローマに集まる巡礼者が落とす「お賽銭」が、サンピエトロ大聖堂再建の資金ということです
ですがレオ10世は
「ローマに来られない者でも寄進ができるよう、贖宥状(免罪符)を印刷して販売しよう」
この贖宥状(免罪符)とは、巡礼などの善行をしなくても贖宥状を買えば
「善行と同じように罪が清められる」とされたものです
レオ10世の贖宥状販売を、ドイツの財閥フッガー家が手数料がもらえるので販売を請け負いました。
各国政府は教皇の露骨なカネ集めを警戒し、贖宥状販売を禁止しましたが
ドイツ(神聖ローマ帝国)では、皇帝カール5世が、選挙の際、フッガー家から借金をして票を買収したということもあったので贖宥状販売は黙認されます。
これに怒ったのが有名なルターです
ルター
福音主義教会
福音・・・神の救いの教え
エヴァンゲリッシュと訳す
神聖ローマ帝国(ドイツ)の贖宥状の販売に激怒したマルティン=ルター
この人物が宗教改革の始まりです
ルターは次のように言いました。
- 「神がお金を受け取っているのではなくローマ教会の連中がお金を受け取っているだけだ」
- 「人は寄進で救われるのではなく、信仰による正しい行い(義)で救われる」
- 「聖職者はいらない。皆が祭司であり、この世の中の職業も神が与えたものだ」
この最後の職業に関する部分は「職業召命観」
職業召命感は改革派教会(プロテスタント)に共通する思想で
「自分の職業を神が与えた職業と考え、日々まじめに働くことで、神の御意志にかない、救われる」という考え方です。
カトリック教会の免罪符発行に怒ったルターが、ヴィッテンベルクの教会に掲げたのが「95か条の論題」(贖宥状の批判など)
このルターやツヴィングリ(スイス初の宗教改革者)の影響を受けスイスで活動したのがカルヴァンです
カルヴァン
カルヴァン(カルバン)こと、ジャン・カルバンは
ルターやツヴィングリの影響を受けてスイスのジュネーブで宗教改革を進めます
キリスト教綱要の出版し、組織神学を説いた人物ですが(組織神学・・・聖書を絶対基準として、聖書の真理を体系的に示す)
カルヴァンは「予定説」が有名です
カルヴァンの思想は
- ルターの聖書中心主義
- スイスの宗教改革者ツヴィングリの福音主義
- エラスムスの人文主義
これらの影響を受けていた
そんな中で独自性の強い主張が「予定説」といわれる宗教理論
予定説とは
すべての物事は神の業(わざ)であるという考えを突き詰め
人の救済も(その人の信仰の努力ではなく)神によって予(あらかじ)め定められている
という信条で
人は神からあたえられた現世の職業を含めたすべてに対して誠実に生きることを説いたもの
カルバンと資本主義の関係
カルバンはルソーの思想をさらに徹底。
「神に救いを求めようという考えが、そもそも思い上がった考えである」
「誰を救うかは、神だけが決定権を持つ(予め決まっている)。人間はこれを変えられない」
これが、カルヴァン思想の「予定説」です。
カトリック教会は、「罪人も、教会に寄進をすれば救われる」と説きます
マルティン・ルターは、「罪人も、悔い改めて神にすがれば救われる」と説きます
それらに対しカルヴァンは
「罪人は、救われない。救われる人間は、はじめから罪を犯さない」と説いています
ここで言う罪とは、キリスト教における7つの大罪をイメージすればわかりますが(7つの大罪・・・傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、色欲、暴食、怠惰)
現代でいう犯罪だけではありません
金銭や富におぼれること
食欲や性欲などの欲望に身を任せることなどがあります
こういったあらゆる欲望を断ち、日々の勤労に励み、質素に暮らす
この禁欲的な職業倫理を守ることを、カルヴァン派の人々は大切にしています
でも
これがどう資本主義につながるのか?
365日禁欲的にまじめに働いた結果どうなるか?
お金が貯まりますよね?
カトリック教会では財産を持つこと自体を罪としますが
カルヴァンは勤労の結果としての財産を持つことは認めています
ですが、お金があるからと言って贅沢はしません
財産をぜいたくに使うのではなく
新たな事業やお店への投資に使ったりしましょうとしていたわけです
こうして、貯まったお金を活かし、事業に投資したり、新たな材料を仕入れたりすることで
富が富を生み出し、利潤を上げることを目的とする新しい価値観が生まれました
これが資本主義につながるということです
ちなみに
宗教改革の広まりと関りがあるのが印刷技術
贖宥状(免罪符)の印刷や聖書の印刷に用いられた
活版印刷技術の発明者としてグーテンベルクが挙げられるが、発明者に関しては諸説あるようだ。
三大発明(活版印刷、火薬、羅針盤)